記事公開日:2024.07.31
理系学生の進路選択
専門性の高さから、文系学生に比べて需要が多く、就職先に困らない印象のある理系学生。しかし、研究に費やす時間が多く、就職活動にかけられる時間が少ないのが実態です。その結果、企業研究が十分できないまま就職したり、大手志向になりがちな傾向があるとも言われています。
ここでは、そんな理系専攻の学生の皆さんに対し、就職活動において大切なポイントをお伝えします。
自分が活躍できるフィールドをイメージできているか?
まず、自分が活躍できるフィールドを具体的にイメージすることが重要です。自分の力をどこで生かしたいのかを明確にすることで、自分に合った企業選びができるようになります。具体的にイメージするとは、実在する企業を知るということです。例えば、兵庫県の場合、製造業が盛んであり、ものづくりを支える企業が多く存在しています。ものづくりは、製造ノウハウの蓄積だけでなく、生産現場を支える場面でも理系専攻が重要な役割を果たしています。
なお、企業情報を調べる際には、「顕彰制度」も参考になります。兵庫県では、企業の活動を顕彰する制度が設けられています。これらの顕彰を受けている企業の情報を確認することも有益です。
<兵庫県の顕彰制度の一例>
・ひょうごオンリーワン企業
・ひょうごNo.1ものづくり大賞(R3年終了)
・ひょうごクリエイティブビジネスグランプリ
・オンリーワンを目指す企業
・兵庫県科学賞
・但馬産業大賞
・丹波すぐれもの大賞
・阪神南リーディングテクノロジー認定企業
・神戸市優良工事表彰(神戸市)
・伊丹市優良建設業者等表彰制度(伊丹市) など
学部卒業後の進路は就職か? 大学院進学か?
理系学生の場合、就職活動をする前に、学部卒業後の就職か大学院進学かの進路選択の検討が必要となります。大学や学部によって異なりますが、文部科学省の学校基本統計によると、理系学生の大学院進学率は4割以上となっています。学部卒業後の就職のメリットは、修士課程修了者より2年早く入社し、実務経験を積むことができる点です。また、専門外の就職をしても、早く経験を積むことができる点です。一方、デメリットとしては、研究開発職を志望する場合、大手企業や人気企業は修士以上の学位を求める傾向があるため、中小企業やベンチャー企業も視野に入れることが必要です。大学院進学のメリットは、専門性を高めることにより、就職の選択肢が広がる点です。ただし、学費がかかることや実務経験の差など、時間とお金がかかるデメリットも考慮する必要があります。
自由応募か? 学校推薦か?
自由応募のメリットは、選択肢が広いことです。複数の企業に同時に応募し、内定を獲得した企業の中から納得のいく企業を選ぶことができます。ただし、多くの学生が応募するため、大手企業や人気企業の競争率も高くなります。理系学生は学業と就活を両立させるため、スケジュール管理が重要となってくるでしょう。一方、学校推薦は自由応募に比べて競争率が低く、書類選考を省略して面接に進むことができる場合もあります。短期間で内定を獲得することも可能です。ただし、学校推薦は大学と企業の信頼関係にもとづいており、内定後での辞退はトラブルにつながる可能性があります。推薦で選考を受ける場合は十分留意する必要があります。
専門を生かした就職か? 専門外への就職か?
理系学生の就職において、専門知識を生かせる企業を選ぶ学生が大半を占めます。しかし、専門分野外や文系就職でも理系学生が活躍できるフィールドは多く存在します。理系学生の論理的思考能力や数理処理能力、データ分析力、解析力などの強みは、専門分野外や文系就職でも十分に生かせます。重要なのは、自分のキャリアプランを明確にし、なぜ専門分野外での就職を志望するのか、どのように知識や経験を生かすのかをアピールすることです。そのためにも、業界や企業研究が重要なのです。
理系学生にとっては、研究開発に積極的な企業や、キャリア支援が充実している企業を選ぶことが重要です。兵庫県の顕彰制度を活用している地域密着型の企業も視野に入れながら、自分の専門性を生かせる環境かどうかを見極め、将来のキャリアにつながる選択をしましょう。