半導体製造装置やエスカレーターに使われる設備部品や試作品などを製造する佐藤精機は、
姫路市で創業来50年以上の歴史があります。
業容を広げていく中で目指す姿が「取引先からも従業員からも選ばれる企業になること」。従業員にとって
安全で働きやすい環境づくりを進めるとともに、一人ひとりの技能を高めるための取り組みを増やし、
よりレベルの高い仕事に挑戦する気風を育てています。
社員一人ひとりの意欲的な挑戦が新規の受注につながっています。
優秀な人材の確保が課題に
姫路周辺に立地する大手企業からの受注を多く手掛けてきた同社。かつては大手1社への依存度が約8割を
占めていましたが、近年は、リスクを分散するために取引先を積極的に広げる努力をしてきました。
技能レベルが向上し新規受注を獲得
まず取り組んだのが能力向上を支援する試みです。全ての従業員に品質管理検定3級以上、また製造担当
従業員には技能検定2級以上の資格取得を推奨。現在、前者は約9割、後者も約3割が取得済みです。また、
優れた技能を持つベテランの技能工を外部から招き、手作業でしか出せない高度な加工技能も吸収。
取引先企業が開く技能コンクールでは3年連続で1位を獲得するなど、好結果に結び付いています。
こうした取り組みは取引先からの信頼の向上につながっており、2013年7月からは新たに航空機部品製造の
仕事も加わりました。これまでの技能の蓄積だけでは通用せず、壁にぶつかることも多いそうですが、
「以前であれば『できません』と答えていた従業員が『できます』と答え、自分でどうすればいいかを
考えながら率先して新たなことに挑戦するようになりました」。個々が着実に自信を付けているといいます。
会社が出場を推奨している「技能コンクール」。
毎年優秀な成績を修めています。
働きやすい環境を整える
一方で、働きやすい環境整備にも注力。休憩時間のより有益な活用を目指し、実施した従業員満足度調査
の結果から、要望の高かった仮眠もできるリラクセーションルームを新たに設置しました。また、
有給休暇の取得を促進し、社外活動としてボウリング部、ゴルフ部をつくり、ソフトボールやフットサルなどの
スポーツを楽しむ機会も増やしています。「気分転換になるだけでなく、時間を有効に使おうという
意識が芽生え、生産性が向上しました」と佐藤さん。「レクリエーションを通じてこれまであまり話を
しなかった社員同士のコミュニケーションが取れるようになり、忙しい時にはお互いが助け合う風土も育ちつつあります」と続けます。
働きやすい環境づくりの一環として設けられたリラクセーションルーム。
仮眠できる部屋も。
従業員のモチベーション向上は定着率の向上にもつながっており、近年は働き続けられる環境、風土を
いかに整備するかにも注力しています。母親の介護で退職せざるを得なかった女性社員にこのほど、
パート従業員として復帰を促しました。母親がデイサービスを利用する週3日、1日6時間の勤務です。
「経験も能力もある従業員は会社にとって宝。本人の時間の許せる範囲で働ける環境を整えていきたいです」
2013年10月、本社近接地の第2工場を改築。工場内には国産、ドイツ製の最新鋭の工作機械が並び、
取引先の要請に応えられるレベルがまた一段と上がりました。
「かつては地方にいることが不利と考える風潮がありましたが、そうは思いません。緑の多い働きやすい
環境を生かし、都市部からも、遠隔地からも私どもの会社を求めてやって来るような選ばれる企業になります」。
社長の佐藤慎介さんはきっぱりとした口調で強い決意を語りました。
有給休暇取得も促進。
社外活動として、フットサルなどスポーツも盛んです。
PROFILE
所在地:姫路市余部区下余部240-6
事業内容:製造業
従業員数:37人