「楽正早安」をテーマにした 改善で働きやすさを実現 アスカカンパニー(株)

アスカカンパニーの社風をかたちづくっているのが、40年続く「MK(みんなで活動、みんなで改善)

活動」です。グループ単位で、働きやすい環境にするための目標を決め達成するという繰り返しの中で、

常により良い環境を追い求める風土が根付いています。


取組のポイント

★「楽正早安」をテーマにした現場の改善活動の実践

★ 在宅勤務制度、短時間勤務制度の導入

★ 女性が活躍できる事業の創出



全社員が参加する「MK活動」。小グループに分かれ議論、

問題解決を図ります。


〝社員のために〟行う活動

 加東市に2カ所、宮城県に2カ所の工場がある同社。プリンの容器や、歯磨き粉などのチューブ状製品の

ふたなど、多種多様なプラスチック製品を製造しています。

 MK活動は、生産部門に限らず全社員が参加し、1年間を4月から9月、10月から3月に分けて

行われます。半期ごとに1 0 人前後の小グループが編成され、メンバーは同一職場内だけでなく、

部署を横断し構成されることもあります。

 グループで達成すべき目標を決め、毎月2回のミーティングを通して分析、対策、評価を実施します。

途中、対策や効果などについて分かりやすくまとめられているかを評価する中間発表を行い、最後に

全社員が参加する成果発表会において発表。優秀チームは表彰されます。

 同社ならではの特徴は、活動のテーマを「楽正早安(らくせいそうあん)」に定めていることです。

具体的には「より楽に楽しく」「より正しく正確に」「より早く」「より安心安全に」。活動の狙いに

ついて長沼恒雄社長は「コストがいくら削減できたかといった結果は問わず、社員にとって作業しやすく、

働きやすくなる目標であれば何でもいい。あくまでも社員のための活動で、先代の父が始めました」と説明します。


在宅勤務を選んでいる女性社員。10年間で3人を出産、育児を

しながら業務をこなしています。


入社2年目でグループリーダー

 各グループの目標は、ハトのふん害対策から接客マナーの向上まで多彩です。現場の作業をより早く、

安全にするために開発した機器がそのまま商品化されたケースもあります。プラスチック容器の断面を

切る作業を容易にした切断機「キッタロウ」や、商品を詰め終えた箱を次の空箱に自動で入れ替える

「自動箱替機」などはその一例です。それらによって作業時間が減り、同社では繁忙期でも夜勤を

せずに済んでいます。

 早くからリーダー経験を積ませるため、入社2年目以降の社員がグループのリーダーを務めることが

あります。そのため、課題の抽出方法やミーティングの進め方などはマニュアル化されており、新入社員や

リーダー向けに活動に関する社内教育も実施しています。また、チームワークで仕事をするための

コミュニケーション能力を醸成する場にもなっています。

 「困っていることは自分たちの手で改善するという風土が形成されました」と長沼社長は言います。


夏季インターンシップには女性が多数参加。

他に工業高校の技能実習も実施し、高校OBの社員が講師を務めます。


在宅勤務を10年続ける社員も

 同社では、育児・介護休業や短時間勤務制度など家庭と仕事を両立するための制度が整っていることは

もちろん、各社員のその時々の状況に合わせて、働き続けられるように個別対応をしています。

 例えば、技術系の女性社員の一人は10年前から在宅勤務を続けています。加東市の本社で勤務して

いましたが、夫の転勤に伴い滋賀県に転居することになったため、会社から提案したのです。10年の間に

3人の子どもを出産し、育児をしながら今も在宅での勤務を継続中。現在はプラスチック原料の開発のほか、

省庁に補助金を申請するための書類作成業務などを担っています。毎朝の朝礼には、インターネット通話を

活用して参加しているそうです。

 入社2年目の経営企画部HRグループの畑瀬美早紀さんは「女性管理職の方々が短時間勤務制度を

活用して働く姿を見て、私もあんなふうに家庭も大事にしながら仕事を続けられたらいいなと思います」と話します。

 近年は新卒社員の半数を女性が占めており、長沼社長の次なる目標は、女性が活躍できる事業を

新たに創出することだそうです。

 「当社が今後力を入れていこうとしているのがIoTと連動した生産効率向上のためのソフト開発です。

そういう仕事はものづくりに比べ女性の力をより発揮でき、勤務時間も拘束されにくいので、女性が

ますます活躍できると思います」と意欲を見せています。


成形品切断機「キッタロウ」。

「楽正早安」から生まれた製品は社外からも好評を得ています。


PROFILE

▶事業内容プラスチック製品の製造

▶設立1968年

▶代表取締役社長長沼 恒雄 

▶従業員数243人(男141人、女102人)

▶所在地加東市河高4004

http://askacompany.co.jp/

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