デジタル化や営業時間短縮で より働きやすい職場へ ジィ・アンド・ジィ(株)

旅行とITソリューションという異質な2事業を柱とするジィ・アンド・ジィ。柱の一つである

旅行事業部の窓口業務は接客で忙しく、事務作業は閉店後に及ぶためサービス残業が日常的でしたが、

IT事業部の協力により業務の効率化が劇的に進みました。営業時間の短縮、福利厚生の見直しなど

大胆な改革も進めています。


取組のポイント

★ アナログからデジタルへ業務を見直し

★ 営業時間短縮、定休日導入で負担を軽減

★ 福利厚生の改善で社員の満足度をアップ


新入社員を含む若手を中心に「SNSをどのように活用すればお客さまにとって良い情報をいち早く

お届けできるか」について話し合いを重ね、ホームページやインスタグラム、LINEを開設しました。


「残業が当たり前」常識を見直す

 同社は、神戸の家電量販店、星電社の事業部門が独立して発足しました。旅行事業部はJTB総合提携店

「えすぽツーリスト」を展開し、神戸を中心に7営業所と団体営業部を構えます。新型コロナウイルス

感染症の流行まで業績は堅調で、2015年度には新卒採用も始めました。

 ただその頃、若手や女性社員の定着率の低下が顕著になってきました。理由は、業界全体で見られた

長時間労働です。営業中は接客に追われながら要望などを記したメモを作り、正式な書類の作成や発注

などの事務作業は閉店後に。その事務作業を翌日まわしにしたり誰かに引き継いだりすると、記憶違いや

伝達ミスでトラブルになりやすいからです。そのため、繁忙期には事務作業が深夜に及び、サービス残業が

当たり前でした。旅行事業部の責任者である常務取締役の福地康行さんは「定着率が低下することで、

さらに社員の負担が増える悪循環に陥っており、業界の常識を見直す必要がありました」と話します。


垂水営業所で活躍する女性スタッフ。

定休日導入などで負担軽減につながりました。


デジタル化を進め営業時間も短縮

 実はそれまで、残業時間の把握すらできていませんでした。集計すると2015年度で1人当たり月平均45時間。

事務作業を効率化するため、デジタル化を進めました。ちょうどJTBも同様の取組を行っており、

足並みをそろえたのです。IT事業部の技術者に協力を求めたところ、使いやすいシステムを構築できました。

それを使えば接客と同時に書類作成や発注ができるようになり、残業は月平均10時間以下まで削減されました。

 また、店舗の営業時間も見直すことに。従来の10時から20時までの営業時間だと2シフトにする

必要がありました。新人に指導係が付き添うと、わずか3、4人の店舗ではシフトが組めません。それを

19時閉店にすれば全員が同一時間帯の勤務となります。さらに有給休暇の取得を促進するため、年末年始

以外は無休だった営業スタイルを改め、定休日を設けました。2019年度からは19時閉店、週1回定休の

店舗では、年間361時間の営業時間短縮を実現。休みは48日増えました。

 当然ながら売り上げ減を懸念したものの、実際は、顧客への周知を徹底した効果もあって全く影響は

ありませんでした。旅行事業部は過半数が女性です。「家や子どものことを心配しながら働くことが減り、

本当に働きやすくなった」と喜びの声が上がります。福地常務は「長時間労働は必要なものだと思って

いましたが、単なる思い込みでした」と言い切ります。


コロナ禍で顧客に送った絵手紙。

4,000枚を社員全員で心を込めて作りました。


コロナ後を見据え人材育成

 コロナ禍で、同社も大きなダメージを受けました。しかし、この苦境を人材育成や働きやすい環境

づくりにつなげようとしています。

 2020年春、旅行事業部には3人の新卒者が入社しましたが、店舗は緊急事態宣言により休業を余儀なく

されました。「このままではモチベーションを維持できない。能力を磨く機会を」と考え、先輩社員が

マンツーマンで研修を行いました。他にも、「旅行に行けないお客さまに楽しんでいただこう」と、社員

全員が心を込めて書いた絵手紙は計4,000枚に及び、大きな反響がありました。さらに、ホームページや

インスタグラムなどでの情報発信も強化しています。

 福利厚生も大幅に見直し、「G&Gpay」という社内ポイント制度を導入。従来の制度は利用者が固定化

されていたため、使いやすくするのが狙いです。社員1人につき年間3万円分のポイントを付与し、IT機器の

購入や旅行といった社内サービス、社員の食事会などに使用してもらいます。利用状況は好調で、自己研鑽や

社員同士の交流に役立っています。福地常務は「若い人は、働く環境に関心が強い。いい人材を確保し、

定着してもらうためにももっと改善したい」と話しています。


「G&Gpay」という社内ポイント制度を導入。


PROFILE

▶事業内容旅行、ITソリューション

▶設立1978年

▶代表取締役社長小林 敏夫

▶従業員数65人(男性38人、女性27人)

▶所在地神戸市中央区磯上通4-1-6

【旅行事業部】

http://www.espo-tabi.jp/

【IT事業部】

http://www.gandg.co.jp/

令和2年度表彰企業

企業情報はこちら

一覧に戻る