人手不足がより深刻になる将来を見据え、10年前から若手社員にとって魅力ある会社づくりを進めてきました。
新卒採用に本格的に取り組む一方で、若手社員の意見を尊重する場を設けるとともに現場のDX
(デジタルトランスフォーメーション)化を推進し、働きたいと思える建設業を目指してまい進しています。
取組のポイント
★ 新卒を積極的に採用
★ 若手の意見を吸い上げる場を設定
★ DXの導入で現場作業を効率化
ICTツールの導入で、現場にいなくても事務所から作業状況が把握でき、生産性が向上しています。
建設業のイメージを変えたい
土木工事を中心に手掛ける同社は、3K(きつい、汚い、危険)のイメージが付きまとう建設業の
印象を変えたいと、建設不況が深刻だった10年前から新卒採用に本格的に取り組んできました。
会社説明会には、経営陣が会社の方針をしっかりと伝えるべきとの考えに基づき、5年ほど前から
香山卓哉専務も参加。「これからは建設現場のIT化が進み、若い社員が現場でより活躍できる時代になる。
おかしいと思うことがあれば自らどんどん変えていってほしい」と参加した学生に伝えています。その結果、
毎年数人の新卒者の採用につながっています。
現場見学会には普段見る機会が少ない内勤社員も参加。
若手社員の意見を吸い上げる
社員の意見を拾い上げる場として、30歳までの10人前後で構成する若手会議を設置。香山専務や
部長クラスもオブザーバーとして参加しますが、自ら考える力を身に付けてもらうため議論は全て
メンバーに任せているとのこと。最新技術を導入している現場を見学したいという若手社員の希望から
「現場見学会」が2021年10月に実現しました。「ユニホームの色をもっとかっこ良くしたい」という
意見も採用され、22年には新色が導入される予定です。
また、仕事で必要なスキルを学ぶ場として若手向けの勉強会を月に1回程度開催。若手社員が学びたいこと、
若手社員に学んでもらいたいことをテーマに先輩社員が講師となるため、質問しやすい雰囲気で質疑応答も
活発に行われています。「土曜、日曜に開かれることの多い就活イベントにも積極的に若い社員が参加しており、
学生からの質問に対して生の声を伝えています。若者の活躍をうれしく思っています」と香山専務は話します。
若手社員の意見を尊重する場の構築に、全社を挙げて取り組んでいます。
いち早くICT化を推進
国土交通省は建設業の生産性向上、安全の確保などを目的に2016年度から業界におけるICT化の
推進を掲げて、企業に取組を促してきました。同社ではその方針の重要性を理解し、いち早くICT化に着手。
各現場事務所にカメラを設置し、勤怠管理や緊急時の対応に活用しています。また、1人に1台タブレットを
貸与し、資料や図面などをデータで確認できるようにした結果、社員たちが重たい紙を持ち歩かずに
済むようになりました。
チャットツールの活用により、日々の情報のやりとりもスムーズに。「やるべきことや注意事項を
文面で容易に伝えられることはもちろん、どこででも読めるようになったので作業が円滑に進みます」と
香山専務はその効果を語ります。
このほか、ドローンを使って撮影した測量データを重機に転送し、正確かつ迅速に掘削ができるように
するなど、ICT化は仕事の効率化につながっています。
さまざまな取組の結果、2020年の年齢階層別の離職率は34歳以下で16.6%と、建設業界の平均
である20%を下回りました。
全社員に占める女性社員の比率は現在約18%。今後はさらに女性社員を増やしていく予定で、毎年
女性の技術者を1人以上採用することを目標としています。また、女性社員の育成と定着に向けて、
インターンシップには女性社員も参加して建設現場の現状を伝えているほか、現場に水洗トイレや更衣室を
設置するなど環境の整備を進めているところです。
「社員を増やし、DXの活用を進めることにより、今以上にゆとりを持って仕事ができるようにしたいと
思います。社員には、それによって生まれた時間をより創造的な仕事につなげていってほしいです」と香山専務。
さらに建設業のイメージ向上を目指します。
和気あいあいの内定者懇親会。2022年は新卒9人が入社する予定です。
PROFILE
▶事業内容土木工事
▶設立1977年
▶代表取締役香山 昌哉
▶従業員数55人(男性45人、女性10人)
▶所在地尼崎市東難波町5-31-20
令和3年度表彰企業
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