白球を追い求めて始まった島での生活と仕事
創業99年目の2007年に開発した生パスタが大ヒットし、直営レストランも盛況の淡路麺業(株)。泉由希菜さんは、近年の新入社員の中でも異色の経歴の持ち主です。東京生まれの彼女は6歳で野球を始め、高校卒業後はプロの世界へ進み、2歳上の姉・由有樹さんと共に活躍。しかし、資金難からリーグが消滅状態となり、クラブチーム「淡路ブレイブオーシャンズ」への加入を機に2021年1月に入社しました。
「淡路市の紹介で工場を見学させてもらい、明るい職場だと思いました」と好印象を抱き、見学後にごちそうされたボロネーゼのあまりのおいしさに「ここでお世話になろうと決めました」。製造部の一員として、次々と流れてくる生パスタの重さを量り、袋に詰めたり、セットを組んだりするのが主な仕事です。「単純作業は好き。自分には向いています」
ブレイブオーシャンズは元プロ選手の田中朋子監督が淡路市の支援を受けて立ち上げたチームで、由有樹さんも投手兼コーチとして名を連ねます。試合は主に週末に組まれ、練習は就業後に市の施設で週4日、練習のない日は市内のジムで汗を流します。「周りの協力のおかげで野球を続けられ、感謝しかありません」と言葉にも力がこもります。社内報で活躍が伝えられるなど、職場の仲間たちの応援も大きな励みです。「試合の翌日は社長にも結果を聞かれます」
休みの日は、同居する由有樹さんやチームメートと神戸のアウトレット施設へ出掛けることも。「島暮らしは快適。ふらっと海岸へ出るだけでも気分転換になります。淡路に住んでよかったと思う瞬間ですね」
△一般向け生パスタのセット組み作業。
「ご家庭でも本格生パスタを味わっていただけます」
Iターン
淡路麺業(株)勤務 泉由希菜さん
東京都墨田区生まれ。都内の女子野球の名門高校から仙台のプロチームに入団。以降、京都、埼玉のチームを渡り歩き、強打の捕手として活躍。2021年1月、淡路市を本拠地とするクラブチーム「淡路ブレイブオーシャンズ」に加入し、市内の淡路麺業(株)に入社。程なく侍ジャパン女子代表に初選出された。