神戸の魅力

神戸港がもたらした豊かな生活文化

 世界との玄関口として日本の近代化を先導してきた国際都市・神戸は、異国情緒あふれる街並みだけでなく、六甲山系や瀬戸内海など豊かな自然環境にも恵まれています。

 六甲山は、市街地の背後に位置し、アクセスの良い「都市山」の代表です。六甲山ビジターセンターをはじめ、気軽なハイキングから、登山、自然や野鳥観察、夜景の名所など、様々な観光・レジャーが楽しめます。さらには、「仕事場」としての活用も進められています。また、古くから天然の良港として知られた兵庫の港は、平清盛の時代には「大輪田泊」、江戸時代には「兵庫津」と呼ばれ、一大貿易拠点としてにぎわいました。明治時代には、現在の神戸港が開港され、その存在は文化の面でも大きな影響をもたらしました。映画・ゴルフ・近代洋服などがもたらされたほか、国内で初めてプロのジャズバンドによる演奏がおこなわれました。そして、ジャズは今もその伝統が引き継がれ、毎年恒例のイベントが開催されるなど「ジャズの街神戸」が定着しています。また、日本三大名泉とされる有馬温泉や灘五郷などの歴史ある名所も多数存在し多様な魅力が詰まっています。


神戸の産業

 神戸港の発展とともに港にまつわる様々な産業が盛んになっていきました。海運や貿易業のほか、鉄鋼・造船・機械産業などの重化学工業も、港をいかした重量物の運搬を考慮して、当地に集積していきました。他にも、港から海外への輸出品として盛んだった真珠加工、合成樹脂を使用したケミカルシューズ製造、個性的でハイセンスなアパレル産業など、ファッション関連産業が多いのが特徴です。また、神戸は高い技術・ブランド力を持つ洋菓子店がひしめく「スイーツのまち」です。さらに、かつて日本で働く外国人が住んでいた旧居留地に残る洋館や異人館は神戸ならではのお洒落な街並みを演出し、観光産業の発展にも役立っています。最近では、神戸ビーフの魅力や歴史の情報発信などもおこなっています。


デザイン都市・神戸

 2008年に神戸市はユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定されました。これをきっかけに進められているのが「デザイン都市・神戸」の取り組みです。テーマは「住み続けたくなるまち、訪れたくなるまち、そして、持続的に発展するまちをめざして、すべての市民が、神戸の持つ強みを生かし、デザインによって新たな魅力を" 協働と参画" で創造する都市」。神戸がこれまで多様な文化を受け入れ、融合し、新しいものを生み出してきたプロセスを再確認し、まちのデザイン、くらしのデザイン、ものづくりのデザインに多様な市民がかかわることを通じて、まちのにぎわい、人のつながりが生み出されることが期待されています。

 

世界に誇る神戸の最先端産業

 1995年の阪神・淡路大震災以後、神戸の経済復興のため取り組まれてきたことのひとつが「神戸医療産業都市構想」です。震災をきっかけに新たな成長産業として医療関連産業に着目し、医療機関、研究機関、企業の集積を図ることによって「市民福祉の向上」、「神戸経済の活性化」、「国際社会への貢献」を目的とするプロジェクトです。現在、ポートアイランド周辺には「先端医療研究センター」「理化学研究所 生命機能科学研究センター」「神戸臨床研究情報センター」などの研究施設や、中央市民病院を中心とした高度専門病院の集積も進んでおり、日本最大の医療都市に成長しています。例えば、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた世界初の網膜シート移植手術の実施や、2021年に供用開始予定のスーパーコンピューター『富岳』の運用など、革新的な研究成果・医療技術を生み出す体制が整いつつあります。

 さらに、かつてのグローバルな神戸を取り戻すべく「国際港湾都市」づくりを推進しています。震災後、港湾の甚大な被害により神戸港離れが起こりましたが、現在は大阪港と共に国際競争力を回復させる試みが進められています。また、2006年に開港しさらなる活性化を目指す神戸空港も一体となって、陸海空のアクセスの良さを活かしたまちのPRをおこなっています。港町ならではの景観や立地を活用したホテルが建設されるなど、今後ますます神戸の可能性が広がっていくことでしょう。



『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫の企業 神戸版』(神戸新聞社、2021年)写真(©一般財団法人神戸観光局)


一覧に戻る