阪神の魅力

工業都市、住宅都市、様々な顔を持つ南部

 阪神地域は、兵庫県の南東部に位置し、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町の7市1町で構成されています。 

    沿岸部は阪急、JR、阪神の各鉄道が並行して走っているほか、阪神高速3号神戸線、5号湾岸線、国道2号、4 3 号などの主要幹線道路も東西を結んでいるため神戸、大阪への交通の便が非常に良く、人口密集地域となっています。


 尼崎市は阪神工業地帯の一角をなす工業都市ですが、かつての高度成長期には大気汚染や騒音などの公害が問題となりました。その後、市は主要工場と公害防止協定を結んだり、環境を守る条例を定めるなど、公害防止に向けた取り組みを行ってきました。現在は、1 0 0 年単位の長期的な視野で環境保全・再生のまちづくりを行う「尼崎2 1 世紀の森構想」を進めています。一方、かつての工場群の中には時代を象徴する建物も数多く存在し、これらを産業遺産として認定し、まちづくりに生かす取り組みも進んでいます。


 西宮市は、関西学院大学や武庫川女子大学をはじめとする大学が多く集まり、文教都市としての色彩が強く、住みたいまちのランキングでも常に上位に挙がっています。西宮北口駅や甲子園駅周辺に大規模商業施設が立地し、また阪神タイガースの本拠地である甲子園球場など大型集客施設もあり市外から人を呼ぶ吸引力にもなっています。日本一の清酒生産地である神戸・阪神間の「灘五郷」のうち西宮市には今津郷、西宮郷の二つがあり、市内の学生のアイデアを生かした商品開発などの取り組みも積極的に行われています。


 芦屋市は、大正から昭和初期にかけて山の手地区で住宅開発が進み、山と海を見渡せる眺望も手伝って全国的にも高級住宅地としてその名をはせています。市では屋外広告物条例を施行するなど、美しい街並みを維持する取り組みに力を入れています。芦屋市にゆかりの深い文豪・谷崎潤一郎の記念館や俳人・高浜虚子の記念文学館をはじめ文化施設も点在する一方、六甲山の名所としても知られる岩場、芦屋ロックガーデンは山の愛好家の人気スポットになっています。



住宅地の周囲に豊かな自然が残された中北部

 阪神地域の中部から北部にかけてのエリアは産業と文化、自然が混在したエリアで、交通の便も良いことから大阪のベッドタウンとして発展を遂げてきました。


 伊丹市は、大阪国際空港を有し、国内航空路線を結ぶ関西のビジネス、観光の拠点として存在感を発揮。関西国際空港、神戸空港との一体運用でさらなる発展が見込まれています。飛行機の離発着が間近で見られる伊丹スカイパークのほか、野鳥のオアシスとして知られる昆陽池公園も市内外から多くの人を集めています。濁りのない、いわゆる清酒の醸造法が初めて確立された「清酒発祥の地」として、酒蔵巡りを観光コース化してPRを図っています。


 宝塚市は、阪急東宝グループ(現阪急阪神東宝グループ)の創始者である小林一三が創設した宝塚歌劇団の本拠地である宝塚大劇場があり、「タカラヅカ」の名は全国に知られています。また、鉄腕アトムやブラック・ジャックで知られる漫画家・手塚治虫が青少年期を過ごしたまちとしても有名で、市内には手塚治虫記念館もあります。山手地区は高級住宅街が整備される一方、北部は野菜や花の生産地としても知られ、地名を冠したブランド化による商品開発も進められています。


    大阪のベッドタウンとして住宅開発が進められてきた川西市は豊かな歴史に彩られたまちでもあります。源氏の中で最も栄えた清和源氏の発祥とされ、毎年春には「源氏まつり」が開かれています。また、開発が進む一方で自然も残され、豊臣秀吉や千利休が好んだ茶道に使われる「菊炭」を今なお生産する北部の黒川地区は「日本一の里山」としても知られています。日本の原風景が広がる一帯は「北摂里山博物館」として一体的に保全、環境学習が行われています。


 三田市は、六甲山系の北側に位置し、かつてはのどかな農村風景が広がっていましたが、1980年代からニュータウン開発が活発に行われました。現在は農村と都市を併せ持つまちとして知られています。三田栗や三田牛の産地として豊かな食資源が育まれ、これを生かしたレストランや洋菓子店が集まる一方、高速道路へのアクセスの良さから北摂三田テクノパークには大手企業の工場や物流センターが集積し続けています。


 また、猪名川町は阪神地域の最高峰・大野山や猪名川の源流などの豊かな自然が感じられます。大阪へのアクセスが便利なエリアであるため昭和40年代から活発にニュータウン開発が進み、身近に森林や田園風景が息づく環境で暮らせる住宅都市として発展しています。



『高校生のための企業研究ガイド2021 兵庫の企業 阪神版』(神戸新聞社、2021年)



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