自己主張ではなく、自己表現を


「あなたは今緊張していますか?」
「はい、とても緊張しています」
「では、この仕事に向いていませんね。お帰り下さい」

これは、実際にあった外資系航空会社の面接試験でのお話です。この場合、皆さんならどの様に答えますか?

実際の精神状態はさておき、「緊張している」と答えた方が「無難」と考える人が大半ではないでしょうか?

そう、私達日本人は「謙遜こそが美徳である」という価値観を幼少期より刷り込まれ、「出る杭は打たれる」そんな文化のもと、自己を表現する事にどこか後ろめたさすら感じてきました。そんな私達が、いざ就職活動の時期を迎え、いきなり自分をPRしろと言われても無理な話です。

そこでまずリセットしたいのが「自己表現」は「自己主張」とは異なるということです。

わかってもらいたいという、小我(エゴ)が働く表現が「自己主張」であるのに対し、自分の性格、価値観等を表現する事が「自己表現」とするなら、豊かな表現力とは徹底した自己分析に裏打ちされたものであると言えるでしょう。

就職活動における自己分析とは、自分の特徴を理解するために、これまでの経験を振り返り、その時々の感情の動きや、その経験によって得た学びを整理することです。そうした自己分析により「自分自身」と「仕事選びの軸」を明確にすることが出来るのです。

自己分析をする上で、最も大切なのは、生まれてから現在までを振り返る中で「なぜ?」を自分自身に問い続けることです。私達は生きる過程において、無数の選択をしています。そうした選択によって生まれた、印象的なエピソードや出来事を深く堀り下げる事で、自身が大切にしている価値観や、言語化出来なかった行動特性を知る事が出来ます。
例えば、「吹奏楽の部活動を頑張った」とします。

なぜ、その部活動を選んだのか?
 →仲間と一つの音を創りあげる一体感が好きだから

なぜ、仲間と共通の目標を持つと頑張れるのか?
 →皆で協力し、高め合う事が好きだから

なぜ、それが好きなのか?
 →皆で力を合わせれば一人では出来ない事を成し遂げられるから
こうして掘り下げる事で、「周囲の人と協力し、大きな目標を達成したい」「共に働く仲間を大切にしたい」という自身の価値観が浮きぼりになってきます。できれば一つのエピソードに対して、「なぜ?」を5回くらい繰り返すとよいでしょう。自分にとって印象的だったものは、より深く堀り下げる事が出来るはずです。余す事なく自己を表現するには、まず自分自身を知る事が大切です。

そして何より、自分にブレがなく、ありのままの自分で在れた時、また大我のために在れた時、本当の意味で自分を表現する事が出来るという事をお忘れなく。


記:「ひょうごで働こう!マッチングサイト」運営事務局

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